98年6月4日
先日のテストマッチ日本代表vsユーゴスラビア代表、我々の期待した
内容と言う名の結果は得られたのだろうか。
結論を先に言えば可も無く不可も無くと言ったところか。
いや、可も有り不可も有りと言った方が正しいのか。兎に角良くも悪くも
予想通りってのが正直なところである。
ユーゴと共にW杯に向けての調整は・・・・やや日本が進んでいるように
見える。
まあ、日本は初戦に焦点を合わせて調整しているのだしユーゴは決勝
トーナメントに焦点を合わせているのだから当然と言えば当然か。
ユーゴに組織的な動きは乏しく選手の個人的な能力によってのみ戦っていた
様に感じられた。流石に選手個々の能力は高く1対1で勝負出来ていたのは
中田位であとは複数で当たらないとどうにもならないということを再確認
してしまった。
先週のチェコ戦で株を上げた中西が3バックの一角を獲得し、負傷の井原に
替わって斉藤という以外はいつものスターティングイレブンである。
斉藤に統率されたDFラインはやはりミヤトビッチを警戒したのだろうか
チェコ戦に比べるとちょっと深すぎたように思われる。
もしかしたらスイーパーの斉藤の癖なのかも知れない。予選でのホーム
対UAE戦でもラインを下げすぎて我々をイライラさせていた。
そしてその深いラインがMF陣に大きな負担を強いていたことも明白である。
欧州チャンピオンズリーグ決勝戦の時ほどの運動量は無かったものの
その能力はおそらくバティステュータ、シュケルにも決して劣ることのない
ミヤトビッチの高さとうまさは際だっていた。 ちょっと数えてみただけでも
7回は秋田のマークを外しフリーになっていた。上手いことパスの出し所で
止まっていたので致命的なのは2回ぐらいに押さえていたが・・・。
ユーゴの中盤がそう厳しくも無くDF陣のオーバーラップも少なかったため
中盤からの守備は結構機能していたように思われる。
攻撃に関しても中盤のチェックの甘さから出来たスペースを使い、中田の
ボールキープ→山口からの攻撃パスという今までではあまり無かった流れが
かなり意図的に作られていたのが収穫に思えた。
城、中山ともにかなり低い位置に下がってのポストプレーは出来るものの
高い位置での楔のプレーはやはり厳しいようだ。
欧州、南米の選手と比べるとボールを受ける前、マークを外す動きに拙さが
感じられるのは日本のサッカーのレベルの低さを物語っているのだろう。
この辺りが比較的上手いのが今回代表から外れたカズと柳沢なのだが・・・
また、動きの切れが今一なために一発で相手をかわすといったプレーは
どうやら要求する方が無理なようだ。
しかし今までより中田が高い位置でプレーしたため中山のスペースメーク→
城のダイレクトかせいぜいツータッチでのポストプレー→中田の飛び出し
といった一連の流れが出来てきたのも収穫と言えるだろう。
ただ、本番ではもっとタイトなディフェンスが予想されるため今回ほどの
チャンスは期待できないだろう。
二回に渡ってカウンターからの決定的なチャンスを逃したのは残念だった。
もし先制点を奪っていたらユーゴが本気モードで攻めて来ることも考え
られたからだ。それこそ格好のシミュレーションになったであろう。
今更FW陣の決定力が上がることはあり得ないのでパターンの充実を計って
もらいたいものだ。
今回も途中交代で平野が出たが一発のある彼が代表でその能力を有効に
生かされたシーンを観た事が無い。
名波や中田のようにトータルに優れたタレントでこそ無いが彼のスピードと
左足のパワーはうまく生かせば大いなる武器だ。
彼の前にスペースを作りトップスピードで飛び込ませるといったパターンを
作ってやれば・・・というよりそうしたパターンを作らねば彼の投入価値は
フリーキックにしか見いだすことは出来ない。
この試合でも一度だけFKを蹴る機会があったが肩に力が入り過ぎていた
ようでジャストミートせず枠を外していたのは残念だった。
どうでも良いことなのだがこの時彼が意図していたと思われるキック
アウトフロントでカーブを掛けて壁の外を巻いて狙うといったキックは
インフロントで引っ掛けて蹴るように落とす事は出来ないが強くて曲がる
ボールが蹴れるため遠い距離でのFKでよく使われる。
昨年ロベカルが対フランス戦で見せた衝撃的なFKも同じキックだ。
私も学生時代好んで使っていたキックなのでこのキックを使う選手には
感情移入してしまう。
FKから決勝点を決めたミハイロビッチのキックは殆ど曲がる事も無かった
ことから壁の位置に問題があったと思われる。
しかし強烈なキックであったが・・・
彼はその他にも度々正確なロングパスを繰り出し攻撃にアクセントを加えて
いた。そのキック力はかつてのロナルド・クーマンを彷彿とさせる。
平野の左足が凄いと言っても彼と比べるとやはりアジアレベルなのかなとも
思ってしまう。結構お気に入りなのだが・・・平野は。
加茂時代よりは随分マシになったが深いDFラインは中盤でのプレスが掛け
にくく中盤に大きなスペースを与えてしまう。
また、攻撃に関しても素早い二次攻撃が仕掛けにくく単発な物となって
しまう。
何より日本のように個々の能力に劣る場合守備は勿論、攻撃に関しても数的
有利を作り出さなければ互角以上に戦うことは出来ない。
その状況を作り出すポジションがMF陣である。今回のようにFWとDFが
離れた状況だと攻撃に守備にとMF陣が上下に動かなければならない距離は
尋常でなくなる。
TBSの中継のゲスト都並がハーフタイムに言っていたように山口、名波の
負担が大き過ぎる、後半にバテ無ければ良いが・・・案の定後半も半ばに
なると彼らの運動量は落ちていた。そしてそのために出来たスペースを
ユーゴに使われていた。この辺りのしたたかさは流石だ。
ユーゴにはもっと積極的に攻めてきて欲しかったがこの時期お互い一番怖い
のは怪我なだけにまあ仕方がないだろう。
本番を前に最後のAマッチなだけにチェコ戦とは違った何かを期待したの
だが まあ、これが実力ってヤツなのだろう。
これだけは是非言っておきたいのだがTBSの今回のサッカー中継は余りに
酷すぎた。
個人的にバラエティ色を強くしたサッカー中継は嫌いなのだが今回のは
特に段取りが酷い、この辺りの作りはまだNHKやテレビ東京の方が
慣れている為だろうかまだマシだ。
まだスーパーサッカー番外としてやればマシになったのではないだろうか。
カット割りも酷く、名波のFKから奈良橋がクロスバーに当てる決定的な
ボレーを放ったシーンは選手のアップを写していた為リアルタイムでは放送
されなかった。
やはり国際映像のようにロングの画面が殆どの方がゲームも見やすくて良い
と思う。
アナウンサーも下手糞だったし・・・
今回が渡仏前の最後の記事になるのでvsアルゼンチン戦の予想(希望)
スタメンを書いて締めるとしましょう。
GK 川口 まあ順当でしょう。クロスボールに気を付けよう。
DF 井原 当然ですね。極力ラインは下げないように宜しく。
DF 秋田 マンマークでは今や日本一、バティ番
DF 中西 個々最近で急に評価を上げました。積極的にインターセプトを
MF 奈良橋 3バックの時はもっと積極的に攻撃参加を。
MF 山口 中田が押さえられた時はゲームメーカー、でも第二のリベロに
MF 相馬 守備の時間が多いだろうが攻撃の時は積極的にシュートを撃て
MF 名波 山口と共に中盤のDFの中心。攻撃の時はもっと前に行け。
MF 中田 接触プレーに強く唯一キープできる、シメオネに気を付けろ
MF 平野 兎に角左足の一発!
FW 岡野 当然のカウンター要員。
平野と岡野がスタメンなのがミソ。
大いに疑問を感じる方もおられましょう。理由を言います。
先制点を獲られて守りに入るとまでは行かなくともオーバーラップを控えて
慎重になったアルゼンチンから点を奪うのははっきり言って不可能。
あのブラジルでさえ出来なかったのだから。
だから試合開始直後一気に攻めて来ると思われる時間帯こそ唯一の得点する
チャンスと思われる。大いにリスクはあるが。
この時間帯に平野、岡野でカウンター一発だけを狙う!二次攻撃は考えない
これこそが私が考える唯一勝利の可能性のある戦い方だと思う。
まともにやっては99%勝てる相手では無いのだから・・・・
ではアルゼンチン撃破をこの目に焼き付けるべく行って来ます。