■蹴球徒然’98■
  • 98年5月7日

     ワールドカップに行くと思われるメンバーが発表された。
    伊藤輝悦の選出はやや意外ではあったがまあ、納得できる選出である。
    彼はテクニックに優れ攻守のバランスが高いレベルで取れた数少ない
    選手の一人であるからだ。
    スタミナの欠ける市川は私としてはちょっと納得しがたいモノを感じる。
    確かにテクニック等奈良橋に無い物を持ったプレーヤーではある。
    が、どのような場面でピッチに投入するのかちょっと理解し難いのだ。
    岡田監督の思い入れという物を大いに感じられる選出である。
    同じくエスパルスの斉藤の選出も私としてはちょっと納得しがたい。
    井原のバックアップと言うのが彼の選出理由なのだろうが彼はDFのライン
    コントロールに難を感じる。
    サッカーダイジェスト誌で加藤好男氏も言っているがアントラーズの奥野
    ならコンビネーションにも問題は無く良いのではないだろうか。
    また、個人的には井原の後継者は彼こそが適任ではないかと思っている
    ジュビロの田中も選択肢に入れて良いがDFラインのレギュラー3人が
    アントラーズの選手であることを考えるとやはりアントラーズの奥野こそが
    適任ではないだろうか。
    平野、岡野は一発のある飛び道具としてまあ納得がいくのだが個人的に
    現在日本人FWで最も能力の高いと思われる柳沢を外したのはどうにも
    納得がいかない。
    現在日本人FWの中ではプレーの精度はピカイチである。
    比べうるプレーヤーと言えばカズぐらいだろう。
    また、攻撃における動きだしの早さは城と双璧である。
    まあ、カズには経験という、また城には中田との相性の良さという
    付加価値があったが柳沢には代表の試合で良い結果を出せなかった事と
    今シーズン一時の不調が響いたのだろう。

    正直言って未だに私は岡田監督の手腕には否定的な印象しか無い。
    それでも応援せざるを得ないのが悲しいところではある。

    ただ、私は前オリンピック代表監督の西野氏の手腕に対しても否定的で
    あった(これは今でも変わっていない)。 それでもあのブラジルを破る
    と言う快挙を成し遂げた。
    あの時の再現を夢見て約一ヶ月後私はフランスに向かいます。

  • 98年5月21日

    遅ればせながら先日のキリンカップvsパラグアイ戦は仕事の都合で残念ながら
    TV観戦となってしまった、うーん。

    内容はテレビで見る限りではパラグアイの体調が悪くあまり参考にならないように
    感じられた。
    第一の視点として中田が不在な中盤がどうなるのか?
    そして、私の嫌いな3バック(実質5バックだから)はちゃんと機能するのか?
    FWは点を獲れるのか?と言うより得点の予感は感じさせてくれるのか?
    そして何より岡田監督の意志は見えてくるのか?
    といったモノを心に留めて観てみた。
    スターティングイレブンは良くも悪くも予想通り。計算できるいつものメンバー
    守備重視の5バック以外何の工夫も感じられない。
    何より攻撃が薄そうな布陣である。現在好調の森島、中山は妥当なところだが
    ツートップの一角を占める城は未だ体調があまり良さそうに見えないのだが・・・
    まあ、良いだろう。
    実際試合が始まってみると名波が良く走り、気の利いたポジショニングで機能
    している。 ジュビロでプレーしている時程ではないが。
    中田の代役(?)の森島は持ち前のスピードと運動量を見せ、アクセントに
    なってはいたが今一フィットしてるとは言い難かった。
    良いシュートも打ったがチラベルの好守に阻まれた。
    いつもよりかなりましだがやはり守→攻の際DFラインの押し上げが遅い。
    だから折角攻撃に行っても厚みが足りないのだ。運動量自体は結構多いのだが
    どうも無駄が多すぎるようだ。

    ダイナスティカップでの中国戦同様守備のテストとか言っておきながら余りに
    早い時間帯に失点してしまった。
    失点はコーナーキックの際、絵に描いたように集中力が途切れたところを
    物の見事にヘディングシュートを決められたものだ。
    その集中力の切れ具合はといえばGKの川口は反応さえ出来なかった程である。
    先制点を獲ると旅の疲れもあるパラグアイは攻めて来なくなってしまい、
    守備的な布陣をした日本は肝心の守備テストが出来ないだけではなく
    試したかったカウンターアタックも出来なくなってしまった。
    比較的ボールは支配出来るのだが攻撃陣が手薄なため引いてしまった相手に
    有効な攻撃は殆ど出来ない。
    しかし本番でアルゼンチンに先取点を獲られる可能性は少なくないのだが、
    そうなった時のオプションはどうなっているのだろう?
    今回は後半も30分過ぎにやっと攻撃の駒を増やし慣れ親しんだ4・4・2と
    したのだがむしろそれ以降の方が好撃は勿論守備でもバランスが取れている
    ように感じたのは私だけだろうか。
    日本代表が5バックでまともなパフォーマンスを見せた試合を私は記憶に無い
    のだ。
    今回の試合で致命傷にこそならなかったものの以前から感じていた5バックの
    の欠点がこの試合でも見え隠れしていた。
    特に秋田に顕著なのだが2人のセンターバックのカバーリング意識が低下
    するのだ。
    おそらく「自分はマンマークに全力を尽くしカバーリングは井原に任せよう」
    という意識が働くためと思われる。
    オーバーラップしてきた相手MFを井原がカバーに行った時、極端に守備の
    バランスが崩れるのだ。
    これでは一人余らせている意味がないように思われるのだが・・・
    まあ、これはシステムの欠陥と言うよりDF陣の意識の徹底が足りないと
    言った方が正しいのだろう。
    中盤はパラグアイのチェックがルーズだったためスペースが結構ありパスは
    比較的回っていたようだ。
    が、決定的には崩せていなかったようにも見えた。
    この最大の原因は中山、城のツートップが効果的なくさびになれなかった
    事だと思われる。 どのような形にせよ前線でポイントを作ってMF陣に
    ゴールに向かってプレーさせる事が殆ど出来なかった。
    結構運動量は豊富だったように見えたのだが競り合いに負け、ボールを
    奪われるシーンが多すぎた。
    引いた相手の裏を取るのは確かに至難の業なのだから突撃ドリブルで
    ファウルを引き出すとか壁パスで突破を計るとか工夫が欲しかった。
    この試合で最も有効に働いていたFWは呂比須だったようだ。
    技術が正確なため前線でボールをキープできたからだ。
    非常にテクニカルな惜しいシュートも打ったし・・・

    結局試合終了近くにゴール側で得たフリーキックを虚をついた素早い
    リスタートで城→相馬と繋ぎ同点ゴールをゲット。
    狡賢いこのゴールは頼もしささえ感じたが出来れば流れの中からゴールを
    奪って欲しかったというのは贅沢か。

    加茂前監督同様、おそらく試合前に立てたであろうプランを頑ななまでに
    固執し、試合の流れを見て柔軟に対応するといった事が皆無だったのが
    残念だった。


    攻めて来ない相手に守備のテストをし続けるってのは無いんじゃないかなー。

  • 98年5月22日

    先ずはBSで観た韓国vsジャマイカから、途中から観たのだが第一印象は
    ジャマイカの選手は身のこなしがアフリカの選手のようなしなやかさこそ
    感じたが一つ一つのプレーが淡泊でちょっと期待外れというものだった。
    スピードは確かにあるようだがむしろ韓国の選手の方が力強さも兼ね備えた
    様な感じで見劣りがした。
    技術の精度はどっちもどっちと言った感じではっきり言ってアジアレベルを
    超えた物では無かった。
    確かにアウェーであるという点等マイナス要因もあるだろうが戦術的な
    完成度は低く、韓国代表にもう少しの決定力があれば引き分けるなどと言う
    失態を演じるような事は無かっただろう。
    試合の内容と言えばやけに中盤のスペースがあるのが気に掛かった。
    韓国代表のテンションもそう高く無く・・・と言うよりコンディションが
    良くなかったのかな等と感じてしまう。まあ、元々好不調の波の激しい
    チームではあるのだけれどね。
    本番でもこの試合のように中盤にスペースを与えてくれれば日本代表の
    中盤も結構良い攻撃を組み立てられるのでカウンターにさえ気を付ければ
    負けるような相手では無い・・・・・と思うんだけどねえ。
    あと、守備の拙さからファウルの多いチームなので日本と戦う前にカードを
    貰いまくり少なからずの主力が出場出来ない等という希望的観測も・・・
    もっとも油断して勝てるようなチームでもないと思うけどね、少なくとも
    あのブラジルと引き分けた事があるチームなのだから。

    さてと、お次はメインイベントのヨーロッパ・チャンピオンズ・リーグ決勝戦
    オランダはアムステルダムのアレナスタジアムで行われたスペインの超名門
    レアル・マドリーvsイタリアの超名門ユベントスである。
    ちなみにユベントスは私が最も愛するヨーロッパのクラブチームである。
    何故なら私が最も好きなプレーヤー、ミッシェル・プラティニが全盛期に
    プレーしたチームだからです。
    対するレアルはスペインのチームとしては私が最も好きなバルセロナの
    ライバルであるので当然私はユーベを応援しておりました。
    両チームともレギュラーは勿論控えの選手に至るまで多くの各国の代表選手
    を揃え多国籍軍、いや、その陣容の豪華さを考えるとまさにスーパー
    多国籍軍とさえ言えるだろう。
    まあ、現在のヨーロッパの強豪の中ではユーベは比較的外国人の少ない
    クラブとさえ言える位なのだが。

    いざ試合が始まってみるとやや気負い過ぎの印象はあるもののそのスピード、
    パワー、意外性はもう「これぞ世界最高レベル」と言った感じでJ−リーグ
    の試合を見慣れた私の目にはもう全く別のスポーツに映ってしまう。
    そして「こういうゲームが観たくてサッカーファンを続けているのだな」と
    今更のように感じてしまう。
    両チームのツートップは実に対照的である。
    レアルのツートップは大柄で力強く、丁度サンフィレッチェの久保を全ての
    面でスケールアップさせた様な感じのスペイン代表の典型的なストライカー
    モリエンテス。
    相棒はパワー、テクニック、スピードと3拍子揃い、この試合のMVPと
    さえ言える活躍を見せた万能型の・・・敢えて例えるならアントラーズの
    柳沢とちょっとプレースタイルが似ている(どこがと言えば中盤に良く顔を
    出しボールを裁いてから前線に飛び込むといった流れを好んでするところ
    とかがね)ユーゴスラビア代表の大砲ミヤトビッチ。
    どちらかと言えばパワーコンビと言えるだろう。
    対するユーベのツートップはイタリアが世界に誇るファンタジスタ
    デル・ピエロ。以前からテクニックは折り紙付きだったが最近は肉体的
    にも強靱になり得点力が増し、得点王を争っていた。
    相棒のインザギはスピードが持ち味の点取り屋だったがこの日はゲーム
    メーカーのジダンとのコンビネーションが今一で少なからずブレーキに
    なっていた。
    組織力で勝ると言われていたユーベが優位と見られていたのだがレアルは
    前に出る強い意志を感じ、やや出足で勝っていたようだ。
    兎に角両チームとも個人戦術のレベルの高さに驚いた。
    442だの352だのとフォーメーションの事をぐだぐだと言っている
    我々が滑稽にさえ感じてしまう。

    ユーベの中では現在のお気に入り選手ジダンがやはり目立っていた。
    攻撃は勿論、守備でもいろんな所に顔を出し兎に角ボールに絡むのだ。
    大柄なくせにトリッキーなボールタッチで気の利いたパスを配球して
    その視野の広さには驚くばかりである。
    シーズン途中でミランから移籍してきてリーグ戦では救世主的な活躍をした
    オランダ代表のダービッツはやや気合いが空回りで一発のプレーを狙い
    過ぎてやや安定感に欠けたようだ。
    対するレアルの10番を背負う同じくオランダ代表のセードルフは兎に角
    走る。右に左に、時に右サイドのフランス代表のカランブーとポジション
    チェンジをして好守の中心となっていた。
    もう一人のレアルの心臓を忘れてはいけない、一見柔な外見、エレガントな
    ボールタッチを見せる元アルゼンチン代表のレドンドは抜群のポジショニング
    で中盤のスペースをつぶし、時にはファウルをも厭わない激しさを見せて
    いた。 彼が監督との不仲の為アルゼンチン代表から外れているのは気休め
    程度ではあるが有り難いことではある。
    確かにコンパクトではあったが流石に両チームとも慎重でDF陣の
    オーバーラップは少なく、特にユーベは殆ど前線の3人で攻撃をしていた
    ような印象がある。
    レアルの超攻撃的サイドバック、ロベ・カルは回数こそ少ないものの数回
    最前線まで顔を出して攻撃にも貢献していた。
    ロベ・カル対策に出場したと思われるディ・リービオは相変わらずの運動量
    でサイドを疾走していた。
    兎に角どの選手も良く走るのだ。
    ただ走るだけで無くちょっとした所にもいちいち工夫が感じられ見ていて
    彼等の脳味噌がフル回転しているのが伝わってくる。
    結局ミヤトビッチの一発でレアルに凱歌が上がり私としては残念な結果に
    終わったが、試合内容そのものは非常に面白く大満足であった。

    でもW-杯では我が日本代表はこんな奴等と戦うのか・・・と余りのレベルの
    違いに笑いさえ出てくるのであった。

    何時の日か日本人がこんなプレーを見せてくれたら・・・ねえ

  • 98年5月24日

    キリンカップのvsチェコ戦も残念ながらTV観戦となってしまった。
    先週のパラグアイ戦で負傷した秋田と小村の代わりに中西と斉藤が入
    ったのを除き、皮膚炎の為出場出来なかった中田が戻ってほぼ予想通り
    の布陣である。
     試合が始まるとチェコは先週のパラグアイとは打って変わって
    積極的に攻めてくる。コンディションは悪くなさそうだ。
    流石にパスは速く、正確だ。ボディコンタクトにも強い。
    W杯を控え打ってつけのスパーリングパートナーだ。
    立ち上がりから押し込まれるが大した破綻もなく踏み留まっている。
    最初のカウンターのチャンスが中山にあったが何を迷ったのかモタモタ
    してシュートさえ打てずボールを奪われる。この後中山はこの類の
    プレーが多く、と言うより持ち前の思い切りの良さは全くといって良い
    程無く守備にしかその役割を見いだすことは出来なかった。
    前半にあったボレーシュートのチャンスに空振りしてしまったその動き
    には力みがありありと感じられた。そんな所ばかり中山らしくてもねえ・・・

     パートナーの城にしても同様で守備、そして中盤のパス回しに顔を出す
    までは良いが前線で全くキープ出来ず、と言うより殆どボールに触れず
    裏に走り込むシーンなど皆無であった。
    ツートップは文字通り完封されてしまっていた。

    確かにチェコは攻めに来てはいたがやはり慎重でDFのオーバー
    ラップは殆ど無く殆どファウルもせず冷静に戦っていた。
    東欧諸国がよくやる一人か二人が長い距離を走ってそこを起点に相手を
    崩すといったプレーが殆ど無かったのはモデルチェンジしたのか
    それとも体力の問題か? 基本的に速いショートパスから攻撃を組み
    立てていた。流石にこういったところは基本技術の高さを感じさせる。
    平気でダイレクトで5本ぐらい回してくる、日本にとって救いはチェコ
    の選手の動きが小さかったこと。
    アルゼンチンの攻撃陣がもっとダイナミックに動いてくるのは間違い
    無いのだがまあそれはそれとして
    注目のポポルスキーも運動量はあまり無く1対1ではむしろ中西が
    勝っていたように思われる。

    今日の日本は今まで3バックで戦った試合の中では最もバランスが
    取れていたように思える。その最大の原因と思われるのが奈良橋と
    相馬のポジションがいつもよりやや高かったことである。そのため
    以前の5・3・2では無く3・3・2・2となり中盤のプレスが効き
    最終ラインも前で勝負できると言う形で比較的安定した守備が出来たの
    だろう。コーチングの足りなさに原因があると思われる最終ラインの
    中央に守備要員が足りなくなるといった滅茶苦茶危険なシーンも数回
    あったが致命傷にはなっていなかったのは単なるラッキーだと思われる。

    中盤の守備が良かったせいもあるのだろうが中西は持ち前の身体能力と
    勝ち気な性格を生かし前へ前へと積極的な守備を見せていて及第点と
    言えただろう。 どフリーのセンタリングを相手に渡すというチョンボ
    もやったがあれは勘弁して欲しい。
    斉藤は奈良橋の後ろのスペースを良くケアしていたようだ。
    前線へのフィードとかカバーリングのことを考えるともし3バックで
    やるなら個人的には井原、秋田、斉藤or中西がベストだと思う。

    中盤はやはり帰ってきた中田が名波と並んで気の利いたパスを配給して
    いた。相変わらず左に流れる傾向が強いため奈良橋を孤立させてしまう
    事が少なくないのが気に掛かるが守備でも強さを見せ効いていた。
    今日の奈良橋は相変わらず回数は少ないが中田との絡みから比較的
    有効なオーバーラップを見せていたようだ。
    個人的にはあのスピードとシュート力をもっと有効に生かして欲しい
    のだが・・・実際奈良橋と対峙していたチェコの選手は結構彼の
    スピードを警戒していたようでファウルをしていた。

    名波、相馬は相変わらずであった。
    特に名波は好守の良く走りバランスを保ち気の利いたパスを配球して
    いる。守備面で文句は無いが攻撃に関してはやはりジュビロに居る時の
    方が危険なプレーヤーなようだ。やっぱドゥンガが居るからかなあ?
    名波に限ったことでは無いが時折中盤で不用意なパスで相手にボールを
    渡しピンチに陥らせてしまうのは何とかして欲しい物だ。

    前半の終盤チェコの11番が良いロングシュートを打ち、すぐ後に城も
    シュートを打ったのだがチェコの選手はちゃんと枠に飛ばしたのに対し
    城のはいわゆる「宇宙開発」中山と並び得点の予感は全く感じさせない
    FWだけのせいにしては可愛そうなのが空中戦では勝ち目がないのなら
    もっと工夫しなければ、センタリングを上げては簡単にはじき返されて
    いた。

    後半に名波が良いミドルを放ち、中山が最初で最後の良い飛び出しを
    見せたがGKのナイスセーブに阻まれる。これは仕方なし。
    反対に日本もチェコの早いタイミングのアーリークロスに川口が
    ナイスな飛び出しを見せる。
    相変わらずセットプレーの際マークがずれて危なっかしいシーンが
    見られるが何とか無失点で済んだので良しとしよう。

    後半途中に交代で小野と呂比須が出てきた。
    中山と交代で出てきた小野は恐らく日本一正確であろう技術と良い
    攻撃センスを見せ気の利いたパスを配球していたがチェコの選手の
    当たりの強さとリーチにやや戸惑っているように見えた。
    しかし小野、中田、名波とパスの出してばっかり増やして受け手は城
    唯一人ってのは・・・・と思っていたら相馬に換え呂比須が出てきた
    予想通り中西を左に回して442としてきた。
    やはり呂比須はプレッシャーを受け手もちゃんと前線でボールがキープ
    出来るのだ、従って攻撃の起点にもなれる。ヘッドも強いし・・・
    先週も感じたが呂比須こそが現在の日本代表候補の中でで一番
    国際試合で使えるFWなのではないだろうか?

    今日の試合でチェコは後半に運動量が落ちたものの特に良かった訳では
    ないがパラグアイのように極端に悪いわけでもなくクリーンに戦って
    くれたことには感謝をしたい。
    日本代表は攻撃から守備への切り替えの早さには好感が持てた反面、
    スピード感の無いカウンターには不満が山盛りだった。
    そしてW杯までの残り時間は少ないというのにこの貴重な90分の中で
    交代枠を使い切ることが出来なかった岡田監督にも不満を感じた。

     そして城と中山が前線でボールを取られる度に私は心の中で
    柳沢コールを送っていたのは言うまでもありません。。

  • 98年6月4日

    先日のテストマッチ日本代表vsユーゴスラビア代表、我々の期待した
    内容と言う名の結果は得られたのだろうか。

    結論を先に言えば可も無く不可も無くと言ったところか。
    いや、可も有り不可も有りと言った方が正しいのか。兎に角良くも悪くも
    予想通りってのが正直なところである。
    ユーゴと共にW杯に向けての調整は・・・・やや日本が進んでいるように
    見える。
    まあ、日本は初戦に焦点を合わせて調整しているのだしユーゴは決勝
    トーナメントに焦点を合わせているのだから当然と言えば当然か。
    ユーゴに組織的な動きは乏しく選手の個人的な能力によってのみ戦っていた
    様に感じられた。流石に選手個々の能力は高く1対1で勝負出来ていたのは
    中田位であとは複数で当たらないとどうにもならないということを再確認
    してしまった。

    先週のチェコ戦で株を上げた中西が3バックの一角を獲得し、負傷の井原に
    替わって斉藤という以外はいつものスターティングイレブンである。
    斉藤に統率されたDFラインはやはりミヤトビッチを警戒したのだろうか
    チェコ戦に比べるとちょっと深すぎたように思われる。
    もしかしたらスイーパーの斉藤の癖なのかも知れない。予選でのホーム
    対UAE戦でもラインを下げすぎて我々をイライラさせていた。
    そしてその深いラインがMF陣に大きな負担を強いていたことも明白である。
    欧州チャンピオンズリーグ決勝戦の時ほどの運動量は無かったものの
    その能力はおそらくバティステュータ、シュケルにも決して劣ることのない
    ミヤトビッチの高さとうまさは際だっていた。 ちょっと数えてみただけでも
    7回は秋田のマークを外しフリーになっていた。上手いことパスの出し所で
    止まっていたので致命的なのは2回ぐらいに押さえていたが・・・。

    ユーゴの中盤がそう厳しくも無くDF陣のオーバーラップも少なかったため
    中盤からの守備は結構機能していたように思われる。
    攻撃に関しても中盤のチェックの甘さから出来たスペースを使い、中田の
    ボールキープ→山口からの攻撃パスという今までではあまり無かった流れが
    かなり意図的に作られていたのが収穫に思えた。
    城、中山ともにかなり低い位置に下がってのポストプレーは出来るものの
    高い位置での楔のプレーはやはり厳しいようだ。
    欧州、南米の選手と比べるとボールを受ける前、マークを外す動きに拙さが
    感じられるのは日本のサッカーのレベルの低さを物語っているのだろう。
    この辺りが比較的上手いのが今回代表から外れたカズと柳沢なのだが・・・
    また、動きの切れが今一なために一発で相手をかわすといったプレーは
    どうやら要求する方が無理なようだ。
    しかし今までより中田が高い位置でプレーしたため中山のスペースメーク→
    城のダイレクトかせいぜいツータッチでのポストプレー→中田の飛び出し
    といった一連の流れが出来てきたのも収穫と言えるだろう。
    ただ、本番ではもっとタイトなディフェンスが予想されるため今回ほどの
    チャンスは期待できないだろう。

    二回に渡ってカウンターからの決定的なチャンスを逃したのは残念だった。
    もし先制点を奪っていたらユーゴが本気モードで攻めて来ることも考え
    られたからだ。それこそ格好のシミュレーションになったであろう。
    今更FW陣の決定力が上がることはあり得ないのでパターンの充実を計って
    もらいたいものだ。

    今回も途中交代で平野が出たが一発のある彼が代表でその能力を有効に
    生かされたシーンを観た事が無い。
    名波や中田のようにトータルに優れたタレントでこそ無いが彼のスピードと
    左足のパワーはうまく生かせば大いなる武器だ。
    彼の前にスペースを作りトップスピードで飛び込ませるといったパターンを
    作ってやれば・・・というよりそうしたパターンを作らねば彼の投入価値は
    フリーキックにしか見いだすことは出来ない。
    この試合でも一度だけFKを蹴る機会があったが肩に力が入り過ぎていた
    ようでジャストミートせず枠を外していたのは残念だった。
    どうでも良いことなのだがこの時彼が意図していたと思われるキック
    アウトフロントでカーブを掛けて壁の外を巻いて狙うといったキックは
    インフロントで引っ掛けて蹴るように落とす事は出来ないが強くて曲がる
    ボールが蹴れるため遠い距離でのFKでよく使われる。
    昨年ロベカルが対フランス戦で見せた衝撃的なFKも同じキックだ。
    私も学生時代好んで使っていたキックなのでこのキックを使う選手には
    感情移入してしまう。

    FKから決勝点を決めたミハイロビッチのキックは殆ど曲がる事も無かった
    ことから壁の位置に問題があったと思われる。
    しかし強烈なキックであったが・・・
    彼はその他にも度々正確なロングパスを繰り出し攻撃にアクセントを加えて
    いた。そのキック力はかつてのロナルド・クーマンを彷彿とさせる。
    平野の左足が凄いと言っても彼と比べるとやはりアジアレベルなのかなとも
    思ってしまう。結構お気に入りなのだが・・・平野は。

    加茂時代よりは随分マシになったが深いDFラインは中盤でのプレスが掛け
    にくく中盤に大きなスペースを与えてしまう。
    また、攻撃に関しても素早い二次攻撃が仕掛けにくく単発な物となって
    しまう。
    何より日本のように個々の能力に劣る場合守備は勿論、攻撃に関しても数的
    有利を作り出さなければ互角以上に戦うことは出来ない。
    その状況を作り出すポジションがMF陣である。今回のようにFWとDFが
    離れた状況だと攻撃に守備にとMF陣が上下に動かなければならない距離は
    尋常でなくなる。
    TBSの中継のゲスト都並がハーフタイムに言っていたように山口、名波の
    負担が大き過ぎる、後半にバテ無ければ良いが・・・案の定後半も半ばに
    なると彼らの運動量は落ちていた。そしてそのために出来たスペースを
    ユーゴに使われていた。この辺りのしたたかさは流石だ。

    ユーゴにはもっと積極的に攻めてきて欲しかったがこの時期お互い一番怖い
    のは怪我なだけにまあ仕方がないだろう。
    本番を前に最後のAマッチなだけにチェコ戦とは違った何かを期待したの
    だが まあ、これが実力ってヤツなのだろう。

    これだけは是非言っておきたいのだがTBSの今回のサッカー中継は余りに
    酷すぎた。
    個人的にバラエティ色を強くしたサッカー中継は嫌いなのだが今回のは
    特に段取りが酷い、この辺りの作りはまだNHKやテレビ東京の方が
    慣れている為だろうかまだマシだ。
    まだスーパーサッカー番外としてやればマシになったのではないだろうか。
    カット割りも酷く、名波のFKから奈良橋がクロスバーに当てる決定的な
    ボレーを放ったシーンは選手のアップを写していた為リアルタイムでは放送
    されなかった。
    やはり国際映像のようにロングの画面が殆どの方がゲームも見やすくて良い
    と思う。
    アナウンサーも下手糞だったし・・・

    今回が渡仏前の最後の記事になるのでvsアルゼンチン戦の予想(希望)
    スタメンを書いて締めるとしましょう。

    GK 川口  まあ順当でしょう。クロスボールに気を付けよう。
    DF 井原  当然ですね。極力ラインは下げないように宜しく。
    DF 秋田  マンマークでは今や日本一、バティ番
    DF 中西  個々最近で急に評価を上げました。積極的にインターセプトを
    MF 奈良橋 3バックの時はもっと積極的に攻撃参加を。
    MF 山口  中田が押さえられた時はゲームメーカー、でも第二のリベロに
    MF 相馬  守備の時間が多いだろうが攻撃の時は積極的にシュートを撃て
    MF 名波  山口と共に中盤のDFの中心。攻撃の時はもっと前に行け。
    MF 中田  接触プレーに強く唯一キープできる、シメオネに気を付けろ
    MF 平野  兎に角左足の一発!
    FW 岡野  当然のカウンター要員。

    平野と岡野がスタメンなのがミソ。
    大いに疑問を感じる方もおられましょう。理由を言います。
    先制点を獲られて守りに入るとまでは行かなくともオーバーラップを控えて
    慎重になったアルゼンチンから点を奪うのははっきり言って不可能。
    あのブラジルでさえ出来なかったのだから。
    だから試合開始直後一気に攻めて来ると思われる時間帯こそ唯一の得点する
    チャンスと思われる。大いにリスクはあるが。
    この時間帯に平野、岡野でカウンター一発だけを狙う!二次攻撃は考えない
    これこそが私が考える唯一勝利の可能性のある戦い方だと思う。
    まともにやっては99%勝てる相手では無いのだから・・・・
    ではアルゼンチン撃破をこの目に焼き付けるべく行って来ます。

  • 98年6月22日

    試合終了のホイッスルが鳴った時、私は友人の家で一緒にテレビの前で
    溜息をつきやや言葉を失っていた。
    解説の早野氏の「良くやりました」と言った類の大甘な解説に納得
    出来ない私達がが文句を言い始めるとテレビ画面にはかなり怒った顔の
    ゲスト、ラモス選手が映し出されていた。
    少なからずの日本代表選手の勝負に対する執着心に欠ける不甲斐ない
    プレーに対する憤りを彼はかなり感情的になりながらも言葉を選びつつ
    ぶつけていた。
    横にいた女性アナウンサーはかなり戸惑っていたのが可笑しくは
    あったが彼が言った言葉に私達を含め少なからずのサッカーファンが
    救われた思いをしたのではないだろうか。

    先日のアルゼンチン戦に不満が無かった訳では無い、だが試合が
    終わった後日本代表は100%力を出したと思えた。良くも悪くも
    実力は出したと。
    これは現場に居合わせたための贔屓目ではないと思う。

    だが今回のクロアチア戦は見ていてストレスばかりが溜まったのは私達
    だけでは無い筈。
    前半はまだしも後半に入ってからの数多くの下らないミスには天を仰ぎ
    何時までも動こうとしない岡田監督の腰の重さにはテレビ画面に向かっ
    て「未だか、未だか」と呟き続けていた。
     端から見ると結構危ないヤツでですね。

     あの試合、前半はともかく間違い無く日本よりクロアチアの選手の方が
    試合に集中していた。
     選手一人一人の能力はクロアチアの方が明らかに上なのは選手を含め
    誰もが知っている事、おまけに気持ちで負けていたのでは勝てる筈も
    無い。
     前半は確かに日本の方がボールをキープしていた。が、あれは暑さを
    考えてクロアチアが動きをセーブしていたからである。
    だが、それに合わせて日本も動きをセーブするべきかと言うとそうでは
    無いだろう。
     個人の能力に劣る日本は試合に集中し動き回る事でしかペースを掴む
    ことは適わないからである。
    そういう意味では日本は正しい選択をしたと言うより勝つ為には他に
    選択肢は無かったのだ。

     一度だけ素晴らしい走り込みを見せた中山に中田から最高のパスが通り
    決定的なシュートを放ったがGKのファインプレーに防がれてしまった
    のだが枠に飛んだシュートがあれだけではお話にならないだろう。
    失点に繋がった中田のパスミスを含め多くの中盤での単純なパスミスは
    技術的な物以上に集中力の欠如による動き出しの遅さが最大の原因なの
    である。
    あのパスミスは出した中田は勿論だが、受ける山口が周囲に気を配り、
    パスを受ける準備をしていれば防げたものである。

     前の加茂監督も言っていたが攻撃は選手個人個人がアイデアを持って
    作っていくのが理想であると言った類の事を岡田監督も言っている。
     また、試合の流れを選手個人個人が感じて修正していくのが
    理想だとも・・・
     確かにそれは理想ではあろう。だが残念ながら現在の日本にその
    ような選手は居ないのだ。ならばそういった事はグラウンドの外に居る
    監督が見極め対処するべきではないだろか。
    日本より高度なテクニックと豊富なアイデアを持った選手を揃えた国で
    さえベースとなる攻撃の形を繰り返し練習し、作り上げ、その上に
    閃きを上乗せしてゆくのだ。
     最初からベースとなる攻撃の形を作る事を放棄するような発言をする
    ような者が監督では・・・・・

     前の加茂監督時代から感じていたのだが此処最近の日本代表は
    カウンターアタックが少ないのだ。
    最終予選のソウルでの対韓国戦の先制点のようにスピードに乗ったまま
    シュートまで繋げることが殆ど出来ないのだ。いちいち中盤でボールを
    止めてペースダウンさせてしまう。
    これはFW陣のスペースメーキングに難が有る為と思われる。
    特に今回のクロアチア戦、数少ないカウンターでDFと1対1になって
    もシュートコースさえ作り出せない城を「FWの軸」等と言い使い
    続ける岡田監督にカズに拘り続けた加茂前監督の陰を見てしまうのは
    私だけだろうか?

     こうして文句を言いながらも応援し続けるしか出来る事が無い我々は
    少なくともあと1試合、岡田ジャパンを見守ってゆこう。

  • 98年6月27日

    試合前、ニュースステーションでスターティングイレブンを見た時
    嫌な感じがした。
    累積警告で出場出来ない中西を除いて前二戦と同じメンバーだったから
    である。
    アルゼンチン戦はまだしもクロアチア線の内容は決して誉められた
    物では無く、何らかの変化を必要とする物であった。
    選手交代は勿論のこと、イレブンの人選というのは監督からの無言の
    メッセージと言うことが出来る。多くの場合ベンチから大声で叫ぶより
    ハーフタイムの怒鳴り声より選手に説得力を持つのだ。良い(悪い)例
    として最終予選の国立競技場での対韓国戦である。一点先制した後、
    かさに掛かって攻めていた日本であったが監督はDFの秋田を投入した
    それをきっかけにDFラインは下がり、結果は周知の通りである。
    試合後、加茂監督は「ラインを下げるなと叫び続けた」と言っていたが
    口でいくら言ってもDF秋田が投入されたことによってイレブンの頭は
    守備にシフトしてしまったのだ。ピッチ上の選手にとって監督の怒鳴り
    声など騒音の一つでしか無い・・・と言ったら言い過ぎではあるが
    そんな物である。

    以上のような事からスターティングメンバーを弄らなかったというのは
    「今のままで良い」という監督からの無言のメッセージとも取ることが
    出来るのだ。
    この際肝心なのは3・5・2とか4・4・2とかのフォーメーションの
    事では無いのだ。
    少なくともスターティングイレブンの変更によって監督は危機感を選手
    に伝えるべきであったのだ。
    確かに多くのマスコミが伝えるように私の目から見てもチーム力は日本
    の方がジャマイカより上に見えた。
    だが間違いなく日本代表のチーム状況は良くない流れの中にあった。
    このチーム状況というのは実力差が少ない場合、勝負における最大の
    ファクターとなると私は考えている。

    試合が始まってみると私の僅かな望みも叶えられなかった事が判明した。
    その僅かな望みとは、開始直後一気呵成に攻めて早めに勝負を決めて
    しまう。もしくは相手をびびらせる。という物である。
    しかし実際の日本代表はゆっくりとした良く言えば慎重な立ち上がり
    だった。
    ただ単に静かな立ち上がりというだけでなくDFラインは深く、中盤に
    広大なスペースがあったのだ。
    これは日本の良くないときに往々に見られる現象である。
    ジャマイカDFのルーズなポジショニングとこのスペースを生かして
    名波がいつもより高いポジションを取り前半は幾つかのチャンスも
    作り出した。
    が、日本のツートップ城、中山は相手DFにスピードで全く相手にならず
    だからといって動きに工夫が見られないので完全に舐められている。
    更にシュートも不正確なので全くと言って良い程得点の予感がしない
    のだ。
    このチームのエース中田はここ最近では最も出来が悪くパスミスを繰り
    返している。彼につられた訳でも無いだろうがチーム全体でとにかく
    ミスが多く集中力が感じられない。
    ジャマイカが積極的にチェックに来ないためボールはキープ出来るのだが・・・
    たまに仕掛けられるカウンターも厚みが無くさほど驚異には感じられない。
    スピードと高さはさすがになかなかの物があるが・・・
    前半の中盤辺りから日本のチーム全体から「この相手ならそのうち点も
    獲れるだろう」といった甘い考えが感じられ始めた。
    そして先制点はジャマイカに生まれる。やはりロングボールにヘディングで
    競り勝ち、落としたボールを蹴り込んだ見事なゴールであった。
    さすが中南米のチーム、現金な物である。それまで大人しかったジャマイカ
    だったがこの一点で動きが良くなる。
    日本は後手後手となってしまっている。中盤のスペースを良いように
    持ち前ののテクニックを以て使われてしまっている。
    この時間帯に追加点を奪えなかったのがジャマイカのレベルの低さなの
    だろう。日本にとっては救いになったが。
    試合展開が再び落ち着いてくるとやはり日本代表選手の適当なプレーぶりが
    目に付く。おいおいそんなに呑気に出来る状況なのか?と突っ込みたくなる。

    そのまま0−1のまま前半が終わり今日こそ後半に向けメンバーを替えてくる
    だろうと希望的観測を持って後半開始を待った。
    替えるべき選手は少なくないのだから・・・
    しかし岡田監督は替えてこなかった。何と決断力に欠ける監督なのだろう。
    絶望的な気分になる。やはり日本代表の動きは相変わらず集中力に欠け
    ミスのオンパレードである。ハーフタイムに何が話されたのだろう?
    やや日本の方がボールをキープしているようだがキープしているだけで
    効果的な動きは無い。より2トップに怖さのあるジャマイカがカウンター
    からスピードとテクニックで追加点を獲った。この試合で中西の代わりに
    ストッパーに入った小村はカウンターを受けた際、よくマークを見失う
    等周りがよく見えないという致命的な欠点があるのだがその欠点が出た
    失点だった。ここまで追い詰められて岡田監督もやっと動いた。
    城に替えてロペス。小村に替え平野である。

    中山&ロペスこれこそが私を含め多くの人が望んでいた2トップだろう。
    この交代をきっかけに日本の動きが良くなる。遅ればせながらやっと
    点を獲るという意欲が見えるようになってきた。
    やはりロペスは前線でボールをキープ出来るので攻撃が形になる。
    DFでも途中出場で流れを変えようという意識が感じられその動きは
    少なからず周りの選手の目を覚まさせたのだろう。
    そしてポジショニングの良さを感じさせる、よくマークを外し良い形で
    ボールを受ける。
    そんなロペスの良さに相まって日本の猛攻がジャマイカのDFにパニックを
    起こさせ日本の選手も結構フリーになれる。
    元々ジャマイカのDFは身体能力と頭数で勝負しているような所があった
    のでちゃんと揺さぶりを掛ければ結構マークを外すことは出来るのだ。
    そして日本のW杯初得点が中山の右足から生まれた。
    その後名波に替え小野を送り込んだドリブル等卓越したテクニックを見せる
    のだが今一フィットしていないため単発である。
    以前から感じてはいたが、いざ点を獲ろうという時のスクランブルシステム
    の煮詰め方の不足を感じさせる。というよりシステムになっていない。
    個人戦術のレベルが低く組織力だけを売りとするチームとしてはあまりに
    片手落ちなのでは無いだろうか。
    しかしそれ以上に選手個々の決定力の無さを痛感させられた。

    試合終了のホイッスルが鳴った時、悔しいとかそう言う感情より日本代表の
    プレーの情けなさから全身の力が抜けた。
    結局ジャマイカの狙い通りの試合展開をやられ、破れてしまったという事
    だろう。
    負けてしまった今でもジャマイカより日本の方がチーム力は上だと思う。
    しかし何より情けないのは勝とうという気持ちで負けていたことである。
    他のどの試合を見てもどのチームと比べてもこの日の日本代表は最低で
    あった。
    この4年後への宿題は戦う上で一番大切な物であり、歴史とか生活に
    根ざした物であるだけに一朝一夕にはいかないだろう。

    しかし運動会の徒競走にさえ順位を付けない教育でどんな闘争心が
    生まれるのだろうか?

  • 98年7月20日

    W杯が終わってもう一週間以上になる。周知のように結果は
    地元フランスの優勝という大会にとって最高の結果に終わった。
    シャンゼリゼ通りの盛り上がりはテレビニュースを通じて皆さんも
    見ただろう。

    大会の総括としては亜20世紀最後の大会として久しぶりに大変
    面白い大会であったと思っている。別に私が初めて生で観戦した
    からとか日本が初出場したからとかそんな事では無い。
    少しはあるが。
    少なくとも前回の大会よりはレベルの高い試合が数多くあった。
    その分、波乱は少なかった。
    その結果アジア、アフリカ勢が南米、欧州勢に比べ実力が劣る
    という事が露骨に現れてしまった。
    アフリカの雄と言われ優勝候補の一角とまで言われた
    ナイジェリアが欧州の小国デンマークに惨敗したのはその
    圧倒的な試合内容を見れば事故とは言えない。
    もっともそのデンマークは次のブラジル戦でも破れたとは言え
    互角の勝負を演じた事を考えれば致し方ないと言うところ
    だろうか。

    前回大会ではあれだけ目立っていたアジアアフリカ勢が何故?
    と思われる方も居ようが私が思うに前回の大会で彼等が活躍
    できた背景にはアメリカの酷暑が大いに関わっていたように
    感じられる。
    そのダメージをまともに受けたのがイタリア、オランダを
    筆頭とする欧州勢である。
    そこにつけ込むことが出来たのが前回大会である。
    ブラジル優勝の最大の要因はフィジカルコンディションの
    調整に成功した事であると私は考えている。

    今大会は比較的天候に恵まれたこともあって欧州勢がバテずに
    済んだようだ。おそらくここ最近の大会では最も選手の
    運動量が多かったのではないだろうか。
    特に決勝トーナメントに入ってからは、もう一次リーグとは
    別次元の戦いを繰り広げていた。どの試合もである。
    その辺りが露骨だったのがアルゼンチンで、イングランド戦
    破れたオランダ戦とも素晴らしい組織のサッカーを見せていた。
    そのアルゼンチンを破ったオランダは私を含め多くの人が
    この大会で最も魅力的なチームと感じたのではないだろうか。
    最終ラインから最前線までどのポジションにもハイレベルな
    選手を擁し、リザーブも含め穴と言えるポジションは見当たら
    なかった。 ただ、オフェルマルスの代わりになる選手は居な
    かったようだが・・・
    ついでに言えばこのチームのダビッツを大会のベストイレブン
    から外す専門家はまず居ないだろう。

    ディフェンディングチャンピオンのブラジルはロナウドを筆頭に
    魅力的なタレントこそ確かに居るのだが組織的なまとまりが
    感じられず、またDFのもろさが目立った。
    ベスト4が決まった時点でブラジルの優勝は無いと感じたのは
    私だけでは無いだろう。
    準決勝はPK戦で勝利は得たものの、試合内容ではオランダに
    圧倒され、オランダのゴールに対する淡泊さに助けられた。
    判定があれば間違いなくオランダに凱歌は上がっていただろう。

    大方の予想を覆したクロアチアもまた素晴らしいチームであった。
    尻上がりに調子を上げて行き、個々の選手のボ−ルコントロール
    技術は完璧と言ってよい程で、そこから繰り出されるカウンター
    アタックは大会随一の切れ味を誇った。
    このチームはどのチームが相手でも勝利するだけの能力を持って
    いたと思える。事実、優勝したフランスが最も手こずったのは
    延長戦にまでなったパラグアイでも無く、PK戦にその結果を
    委ねることになったイタリアでもなく、ましてや決勝戦の
    ブラジルでは無い。紛れもなく準決勝のクロアチアこそが最も
    優勝したフランスを苦しめたチームであったと言えよう。

    さて、優勝したフランスである。
    私は80年代に活躍した”将軍”プラティニのいた頃からの
    ファンである。あの当時も優勝してもおかしくない素晴らしい
    チームだった。ただ、あの時のチームは勝負より芸術に重きを
    おいたチームとさえ言えた。
    それ故、82,86の二大会連続でリアリストの象徴とも
    言える西ドイツに敗れ去ったのは象徴的とさえ言えよう。
    ’90イタリア大会は新旧交代の過渡期にあったためまだしも
    本大会に出れば間違いなく優勝候補の一角に上げられたで
    あろう’94アメリカ大会の時はパパン、カントナと世界一
    とさえ言える強力ツートップを擁していたが無類の勝負弱さ
    を見せ日本同様ロスタイムに出場を逃してしまった。

    今大会の優勝チームは以前ほどの芸術性は無い。(ジダンを除く)
    が、中盤から後ろのラインナップは間違いなく世界一に相応しい
    ものである。
    左サイドのリザラズは守備にやや難があるとは言えその攻撃力は
    欠点を補ってあまりあるものだし、右のテュラムは攻守に
    パワフルで技巧的、文句無し。中央のブランの知性は勿論のこと
    何より凄かったデサイーの力強さ。彼もベストイレブンには必ず
    入るだろう。
    ボランチを勤めたキャプテンのデシャンは素晴らしい読みと
    リーダーシップを発揮し、もう一人のボランチ、プチは陰の
    MVPとさえ言える活躍を見せた。殆どの相手ボールはDF
    ライン間で到達する事無くこの二人に奪われていたのだ。
    右のサイドハーフのカランブーはこの大会はやや期待外れに
    感じたがそのポテンシャルには疑いの余地は無い。
    そしてやはりこの男、ジダンである。
    この大柄な選手は色んな意味でこの大会を一人で面白くした。
    言うまでも無い、一次リーグの退場劇から優勝決定ゴールまで
    そして自分こそが世界一のテクニシャンであると証明して
    みせた。
    世界を代表するDFを2.3人相手にしてでも余裕でボールを
    キープし、決定的なパスを送る。それでいて自らの攻撃力に
    奢ることなくユベントス仕込みの激しいDFをも見せる。
    間違いなく今年のバロンドールは彼の物だろう。

    その分FW陣は見劣りした。
    唯一アンリがそのスピードを生かしたドリブル突破で
    チャンスを演出していたが決定力に不満が無い筈がない。
    もし、このチームに4年前のツートップが居たら・・・
    ずるいぐらい強力なチームになってしまうだろう。
    こんな事を言い出したらきりが無いのだけどね。
    それでも優勝するに相応しいチームであったと思う。
    フランスは。

    さて次は2002の韓国、日本だ金を貯めておかないとな。

  • 98年10月22日

    久しぶりにサッカーの試合を生で観た。
    考えてみれば6月のW杯以来だ。
    カードはJ−リーグ2ndステージ12節
    浦和レッズvs鹿島アントラーズ戦である。
    しかし残念なことに当日は雨、同日行われた日本シリーズは
    早々と中止が決定していた。
    一緒に観戦したのは私の仕事の雇い主のNちゃん、彼女は
    埼玉出身で当然レッズファンである。
    小野と山田暢久が好きだというなかなかマニアックな好み
    ではあるが生での観戦は今回が初めてだという。
    初めて観るには悪くないカードでは・・・いや、相手が鹿島
    であるというのは浦和ファンにとってはちょっと厳しいか?
    まあ、凡戦にはならないだろう。
    ただ、この雨がついていない。
    しかもこの雨のためか急に寒くなっていてちょっと厳しい。
    他には近所に住んでいるマリノスファンのM氏
    彼はいつも私がサッカーを観に行く時は一緒に行き、
    チケットを確保してくれている頼もしい若者だ。
    (当然今回のチケットも彼が確保してくれた物である)
    あとは彼の友人のレッズファンが一人と総勢4人である。

    競技場に着くとスタンドの裏の屋根がある通路に沢山の
    ファンがホームレスのようにたむろしていた。
    その人数は私の予想を明らかに上回るもので、人気が衰えた
    とは言え集客力No.1のレッズパワーの素晴らしさを感じ
    させるに余りあるものであった。
    国立をこれだけ埋められるのははっきり言ってレッズ絡みの
    カードでしかあり得ないのでは無いだろうか?
    そして相手は首位アントラーズとくれば尚更であろう。
    国立競技場にはメインスタンドの一部を除き屋根が無いので
    試合が始まるまで殆どの観客は通路で雨宿りをしていだ。
    が、流石に熱心なサポーターは自由席の確保という理由も
    あるのだが雨の中をスタンドで試合開始を待っていた。
    この日の雨は土砂降りと言っていい程でこんな時に観戦
    するとやはり観客席には屋根が欲しいなと思ってしまう。
    結局この雨のため競技場でポンチョを買う羽目になって
    しまい、予想外の出費となってしまった。

    試合開始直前に席に座るとその席はバックスタンドほぼ中央
    と予想外に良い席であった。
    これはチケットを確保してくれたM氏に感謝である。
    両チームのスタメンを見るとレッズは出場停止のペトロビッチ
    U−19のアジア選手権に参加している小野が出ていない
    だけで、ほぼ予想通りのメンバーである。
    Nちゃんはお気に入りの小野が出ていないのがちょっと不満
    だったようだが・・・
    対するアントラーズは何とジョルジーニョ、マジーニョが
    出場停止という何ともきつい状況である。
    ただ、怪我のため長期欠場をしていた本田が復帰して来た
    のは不幸中の幸いと言えよう。
    より大きな戦力ダウンをしているのは鹿島であろうが・・・

    試合が始まってみて先ず感じたのは私の贔屓選手、柳沢が
    本来のダイナミックな動きが感じられない。
    彼だけでなく、鹿島の選手の動きが重い。
    個々の能力の高さによりボールキープでは優位に立って
    いたが、試合での集中を示す中盤の出足の早さでは明らかに
    レッズが上回っていた。
    レッズでは右サイドバックの山田が動きがなかなか有効で
    右FWの岡野と共にチャンスメイクの起点となっていた。
    これは我々のいるバックスタンド側だったのでよく見える
    ので嬉しい展開だ。
    対する鹿島では相馬、奈良橋のサイドバックが比較的
    動きが良く、チャンスの起点となっていた。
    そして鹿島の先制点はそんな相馬の鋭いセンタリングを
    長谷川と競った浦和のDF城定が見事なヘディングによる
    オウンゴールを献上してしまうという物であった。
    相馬のセンタリングは見事であったがやはり雨の影響も
    あったのだろう。

    後半になると鹿島の動きが良くなってきた。
    パスが繋がりだし、柳沢、長谷川のツートップも絶好調時
    程でないにせよ、時折見せる縦への突進には迫力を見せる。
    そして柳沢が見せた力強い突進からの右足のシュートで
    鹿島の2点目が生まれた。
    後半に入っての鹿島の動きからこれで試合は決まり、あと
    何点はいるか?とさえ感じさせたがそう甘くはなかった。
    途中出場したレッズ堀がゴール前の混戦からのこぼれ玉を
    目の覚めるようなミドルシュートを叩き込んで一点差と
    するとレッズの動きが変わった。
    まさにイケイケである。
    しかし鹿島もそう好きにはさせない。中盤での潰し合いが
    暫く続き、再び鹿島が攻勢に出たその時、絵に描いた様な
    カウンターアタックが!ハーフラインを超えた辺りで私は
    叫んだ「危ない!」鹿島のDFが戻り切って居なかったのだ
    浦和のアタッカーの前には広大なスペースが・・・
    岡野のゴールが綺麗に決まった。
    試合終了時間まであと5分、鹿島が反撃に出たが無情にも
    ホイッスルが鳴った。
    この時私は勝ち点を1失ったと思った。そう、負けること
    などこれっぽっちも考えていなかったのだ。
    この時M氏は「CKとかで決まりそうだな〜」と言って
    いたが延長戦が始まってすぐ、彼の言ったとおりになった。
    Vゴールを決めたのは鹿島の柳沢だった。
    しかも贔屓選手のゴールによって贔屓チームが勝ったので。
    私は満足であった。
    私以外の人はレッズを応援していたのだがここは遠慮無く
    喜ばせて貰った。

    この雨でびしょ濡れになってしまった我々は風邪を引いたら
    馬鹿馬鹿しいので冷えた身体を一刻も早く暖めるべく早々に
    解散、家路についた。
    今度は天気の良いときに観戦したいものだ。
    あるいは屋根のあるところで・・・・

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