01年 6月17日
もう一週間前になりますがインターコンチネンタルカップがありました。
開催スケジュールのために強豪のフランス、特にブラジルは主力メンバーを
欠いたチームでしたが来年行われるW杯のプレ大会とも言える、選手は勿論
運営する者にとっても貴重な経験の場として活用されたであろう。
さて、肝心の日本代表のプレーぶりだが久しぶりに大会を通して私を満足
させてくれた。
昨年のアジアカップは優勝した結果こそ称えられる、満足のいくもので
あったが、その内容は…
テレビ画面から映し出されているそのプレーはアジアのレベルの低さを
再確認させてくれるもの以外の何物でもなかった。
むしろ以前よりアジアのレベルは低下しているのかとさえ感じられた。
そして今回である。
準優勝という結果は勿論だが、私が満足できたのはその戦う姿勢にである。
ここ最近感じられた優柔不断な戦い振りが影を潜めていたのだ。
緒戦の対カナダ戦こそエースの中田の調子の悪さもあり、相変わらずの
煮え切らない試合っぷりを見せていたが、小野の見事なフリーキックによる
ゴールをきっかけに試合を支配し、伸び伸びとした攻めを見せ、格の違いを
見せてくれた。
次の対カメルーン戦はまさにこの大会の日本のハイライトとも言えた。
昨年のモロッコでの対フランス戦以来の、いやそれ以上とも言える
個人的にはトルシエジャパンのベストゲームではないかとさえ思える
試合内容であった。
ああいった卓越した身体能力を誇るアフリカ勢というのは本来日本の最も
苦手とするタイプのチームである。
それをびびることなく堂々と勇気を持って渡り合ったのだ。
勿論ホームの大歓声の後押しがあったことも大きな力となったであろう。
とにかく中盤でスペースを潰し、相手をスピードに乗せない。
一度スピードに乗せてしまうとその高い身体能力とテクニックを生かし
手に負えない攻撃を見せるのがアフリカ勢の特徴であるからこういった戦い方
というのはアフリカ勢を相手にしたときの常套手段と言える。
まあ、こういった戦い方こそが近代サッカーのスタンダードといえるのだが。
そして何よりこの試合で光ったのがV東京のDF中沢の負傷によって
代理として急遽呼ばれた鹿島FW鈴木である。
この代表初先発の選手はそのいかにも気の強そうな顔つきに相応しく全く物怖じ
することなくピッチを駆け回り、ゴールに突進していった。
決して器用なタイプではないが、労を惜しまぬその身体を張ったプレーは
間違いなくチームに勇気を与えたであろう。
キャラクターこそ違うが、そのプレースタイルはちょっと中山を彷彿とさせる。
そして彼の二得点がアフリカチャンピオンを沈めたのである。
が、彼の必要以上とも言える気の強さが準決勝で相手DFに肘鉄を食らわせ
一発退場というネガティブな一面も見せてしまったのもまた事実であるが…
この大会、この鈴木という新発見以上に光ったのがGKの川口である。
”当たっている”なんて表現が生易しく感じられるほどの大活躍を演じて
見せてくれたのである。
間違いなく日本がこの大会準優勝という素晴らしい結果を得ることが出来た
最大の功労者は彼であろう。
鋭い飛び出しはいつものことだが、今回はさらに相手の至近距離のシュートを
ことごとく防いて見せてくれたのだ。
本当に大舞台に強い頼りになる男である。(個人的にマリノスは嫌いなのだが…)
そして決勝戦のフランスである。
スコアこそ0−1と僅差であったが、とにかく格が違った。
大人と子供ほどの違いがあったと言っていいだろう。
この試合の日本は二ヶ月半前にパリで戦った時のようにびびりまくることなく
勇気を持って出来る限りの力で立ち向かった。
間違いなく現在持てる力をしっかりと出せていたと思う。
そしてフランスは気負うことも必要以上に手を抜くこともなく、淡々と戦った
それだからこそ余計にそのレベルの違いが感じられた。
個人のパワー、スピード、テクニック、戦術、精神面と全てにおいて
やはり世界チャンピオンは違った。
もしリスクを背負い、本気で点を取りに来ていたらパリでのように
大量点差の勝利も決して不可能ではなかったろう。
日本がこの国と互角の戦いが出来るようになるには少なくとも十年単位の
時間が必要となるであろう。
また、このチームにはまだ”宇宙人”ジダンが居るのだ…
来年のW杯本番でも優勝候補No.1は間違いなくこのフランスでしょう。
さて、この大会。日本代表はよく戦ったが本番でこんなに楽な組み合わせ
ということは考えられないだろう。
カナダのような明らかに格下のチームが予選を勝ち上がって、しかも日本と
同じ組に入るという可能性は非常に低い(確かに開催国は組み合わせに
恵まれるという事実はあるが)だろうし、何よりどのチームも
間違いなくベストチームで挑んでくるであろうから。
チーム作りはこれから大詰めのスパートを掛けても遅いくらいである。
開催国として恥ずかしくないチームを一年後には見せて欲しいものである。