99年4月4日
仕事が立て込んでいてここに書くのは遅れてしまったが
3月31日に国立競技場で行われた日本代表vsブラジル代表を
観戦してきた。
前の日には雪が降るかも知れない等という嫌な予報もあり、
また前夜の明け方近くには大雨が降っていたのでかなり心配して
いたが、いざその時間となると空は快晴、星まで見えるではないか。
試合開始ギリギリに席に着くといつものように一緒に観戦する
M氏は既に席に着いていた。
そして私に試合のパンフレットを見せてくれ、先発メンバーを
教えてくれた。
一応我々は8,000円もするSS席だったのだが、どう贔屓目に
見てもこの席はA席が妥当だろう。
一応メインスタンドではあったが・・・
いくら相手がブラジル代表とはいえぼったくってるなぁ!
偶然後ろの方の席だったのでまだ見やすかったが、前の方だったら
本当に見難かっただろう。
2002年にはW杯が開催されると言うのに首都圏にまともな
サッカー専用競技場が無いというのはどういう事だろうか?
別にラグビー等と共用でも構わない、イングランドの殿堂
ウェンブリーの様にコンサートの会場にするとかしても良いじゃ
ないか。
サッカー専用競技場で観るサッカーと陸上競技のトラック越しに
観るのとでは全然違うのだ!
何故それが分からない!
フランスで観戦した競技場は何処も選手が近くて良かった。
試合観戦こそ出来なかったが、バルセロナのノウ・カンプなんか
素晴らしいよ!
あれならソシオ(会員)になろうって気も起きるよ。
年間シートだって買いたくなるよ。
仕事の都合さえつけば、その為だけにバルセロナに移住したって
良いとさえ思えてしまう。
と、話を元に戻そう。
日本代表の先発メンバーはGK下田 DF斉藤、秋田、井原
MF伊、田坂、相馬、名波、中田 FW中山、城
この中に私の一番の贔屓選手である柳沢が居ないし
エスパルスの森岡が居ないのはちょっと不満だったが、まあ
手堅い先発メンバーと言えよう。
GK下田はびっくりしたけどね。
この下田がやはり緊張していたのだろう。
単純なキックを始め、ちょっとしたポジショニングとかでも
ミスを繰り返し、不安定なまま自信を喪失。
かなり苦い代表デビューとなってしまった。
試合の立ち上がり、ブラジルは予想外に慎重だった。
この試合の前に韓国に破れているだけに試合開始早々に猛攻を
仕掛け、さっさと先取点を奪ってしまおうという作戦に出ると
私は予想していたのだが・・・
W杯での対アルゼンチン戦でもそうであったが、この立ち上がりの
時間帯の日本代表は意外と良い。
中盤のチェックも早いし、何よりもDFラインが高い。
そして小気味よく中盤でボールを繋げるのだ。
これは相手のチェックがやや甘いことが原因なのだが・・・
一見ボール回しは互角にも見えるのだが、質が全く違うことが
すぐに分かる。
ブラジルはとにかく全てのプレーが正確なのだ。
そして何と言ってもパスが強い、速い!
日本のパスが弱いって事はもう十何年も前、私が本気でサッカーを
見始めてからずーっと繰り返し言われ続けて来たことなのだ。
同じ問題点が改善されることなく言われ続けているというのは
どういうことだろうか?
日本人に強いパスは不可能と言うことは無い筈だ。
現に中田は日本人の中で一人だけブラジル人に劣らない強いパスを
見せていた。
名波も一度ゴール前で上手いことフリーになった城に強く正確な
グラウンダーの素晴らしい縦パスを送ったが、城のトラップが長
過ぎてGKに捕られてしまった。
この時の城のトラップするイメージは悪くなかったんだけどね。
上手いことDFの裏に落としていたが長過ぎた。
W杯以来、サッカーファンの間では城の評判は良くない。
私は素直な良い選手だと思うけどね。
予想外と言っては失礼だが結構着実に成長している。
ただ、ちょっとプレーが軽いかな?
多分現在では単純にプレーだけを見ればもう柳沢の方が上だろう。
ただ、現在の代表の王様である中田との相性という点では一日の長
があると言えよう。
これは中山にも言えることだが・・・
この試合を見る限りはどうやらトルシエは「中田のチーム」を
作ろうとしているようだ。
ある意味当然かも知れない。
現在のJ−リーグでもっとも着実に成長している選手は柳沢だと
私は考えている。
だが、中田はこの半年でもっと成長していた。
セリエAという最高の舞台で常に勝負していることが大きな原因
だろう。
この対ブラジルというフィルターを通して改めて感じさせられた。
中田はW杯当時よりも更に日本代表において更に突出した選手に
なってしまったと。
顕著なシーンがあった。左サイドで名波と相馬がボールキープを
していたが、ちょっと手詰まりになっていた。
そこで後ろからフォローに入った中田にボールが戻されると
ツータッチで矢のようなサイドチェンジのパスが逆サイドのライン
際に開いていた柳沢に渡った。
確かに簡単なボールでは無かったが、柳沢はこのボールを
トラップの際少し浮かせてしまった。
たったそれだけでブラジルのDFフェリピに詰められボールを
奪われてしまった。
J−リーグでは全く問題にならない程のミスである。
むしろあそこのポジションに居たことこそ見事であった筈なのに
柳沢を見逃さなかったフェリピもまた見事であった。
とにかくエンジンの暖まったブラジルは桁が違い、日本代表は
いい様にやられてしまった。
何が一番違うかって兎に角基本が違うのだ。
3バックとか4バックとかそんな問題じゃない。
ボールを止める、蹴る、そして走るべき所に走る。
マークするべき選手から目を離さない。
そんな単純なことの積み重ねがあれ程の差になってしまうのだ。
勿論身体能力においても差はあるけどね。
ブラジルが強いのは分かっている。
日本が弱いのも分かっている。
観戦していて何が悔しかったかって日本代表が何をしたいのかが
全く伝わってこなかった事だ。
「一泡吹かせてやろう」って気概が感じられなかった。
もっと必死に食らいついて行けよ。
技術で負けるのは仕方ないとしてもハートでも完全に負けていた。
もっと分かりやすく言えばビビっていた。
だからルーズボールにも出足が一歩遅れる。
相手ボール保持者に対してのチェックにしても思い切りが悪いから
フェイントに簡単に引っかかる。
試合も中盤以降になるとブラジル選手は日本選手が2、3人居ようが
ガンガンドリブルで突っかけて来ていたのはその辺りを見透かされ
「チョロい」と思われていたからだ。
DFはそれなりに結構頑張ってはいたと思うけど結局名波と下田の
下らないミスから2点を献上してしまった。
一失点目の名波のミスは本当に弁解の余地も無い程下らない
物だったが、2失点目は確かにコーナーキックが素晴らしかった
こともあるが、この試合当日に発売されたサッカーダイジェストの
マリーニョのコラムに書いてあった事が目の前で展開された。
そのコラムにはこう書いてあった「最近はCKの際にファーポストに
DFを立たせないチームが多いが、あれはおかしい」と。
確かにこの2点目の直接の原因はGK下田がCKのボールを見誤って
かぶってしまったことだが、ファーポストにDFが居れば防げ得た
ゴールだったのでは無いだろうか?
あの時、ファーポスト際のボールの落下点にいたのはフリーの
ブラジル選手2人だったのだ。
日本の決定力不足も相変わらずだったね。
確かにチャンス自体少なかったが、前半には少なくとも”超”が
付く決定機が2回はあった。
一回目は伊東テルが右サイドから「今日の一番!」と言える程の
パーフェクトなセンタリングを城に会わせた時。
これはもう上げた瞬間にフラッシュバックのようにゴールシーンが
頭の中によぎる程のボールだった。
観客席で私は「よし!」と叫んだのは言うまでもない。
しかし結果は・・・城のヘディングしたボールは力無く相手GK
の胸へ。
実に見事なパスであった。
触るだけで入ったボールだったよ。あれは。
そして二回目は前半のロスタイム日本が珍しく波状攻撃を掛けて
ゴール前のこぼれ玉が中田の足下へ。
中田のシュートはテポドン並の精度を持って明後日の方向へ・・・
この時も私は「よし、これで同点で折り返せる」と思ったん
だけどね。
最後に後半でヨレヨレになった中山を何であそこまで引っ張るかね?
トルシエにもこれまでの歴代代表監督と同じく用兵の不可解さと
思い切りの悪さを感じてしまったのは非常に残念である。
井原を替えるタイミングとかね。
FWを替えるのも遅過ぎだよ。
替わった選手は誰一人として何にも出来なかった。
勝負に拘ったのかテストをしたかったのかよく分からないスタメンで
あり、交代であった。
Wユースの結果如何ではトルシエの更迭もあり得るって話も聞くけど
後任は一応あたりは・・・付けてないんだろうな。
またバタバタするのかな?
兎に角現在の協会の幹部じゃあ本当に駄目だと思う。
特に大仁強化委員長!
この能無しが代表強化の主席に居るってだけで絶望的な気持ちに
させられる。
今のままでは2002年は開催国としてサッカー史上に残る大恥を
掻く可能性だって少なくないだろう。
若いタレントは居るんだけどね。
中田を筆頭に柳沢、小野、稲本、田中誠、高原、宮本、市川・・・
みんな海外に行け〜〜〜〜!