1月22日
扁桃腺、この聞き慣れた症状も案外馬鹿に出来ないようである。
最初に気が付いたのはD氏の職場で朝目覚めた時感じた喉の違和感であった。
その後数日その違和感は続いていたが、空気が乾燥しているせいであろうとたかをくくり毎晩酒を飲み不摂生を続けていた。
が、一向に良くなる気配を見せず・・・・それどころかどんどん症状は悪化してゆき
ついには水を飲むことさえ困難な状況となり、さすがにこれはいかんと思った私は朝一で近所の耳鼻科医へ。
診察台に座り、口を開けた時に気付いたのは喉の腫れのために口があまり開けられないということだった。
そんな私の喉を覗いたお医者さんは開口一番
「これは酷いねぇ」
「これは入院することになると思うから大きい病院紹介するよ。」と・・・・
え”?え”?え”???
曰く、扁桃腺の炎症が酷すぎてもはや飲み薬では効かない状況であり、
更には回りの組織にまで炎症は広がっており、膿も溜まっている状況だと・・・・
紹介状を書いて貰い、大きい病院への行き方を教えて貰い自宅へいったん帰る。
地図で紹介して貰った病院を調べてみる。
先のお医者さんはタクシーで行くことを勧めてくれたが、まあチャリで充分行ける範囲内である。
ということで早速出掛けた。
が、体調万全とは言い難い私には予想より遠く感じてしまったのは言うまでもない。
何とか迷うこともなく着いた病院。S会第二病院
早速診察を受けたのがなかなかベテランでタフな感じのする女医さん。
見るからに頼りになりそうな感じを受ける。
近所の病院のお医者さんも女医さんだったし、耳鼻科医って女医さん多いのかな?
等と余計なことを考えてしまう。
そしてここでもまた、喉を覗いて最初に出た一言は
「これは酷いねぇ」
であった・・・・
すぐに検尿、採血、点滴を済ませ、喉の治療へと突入。
ジェル状の麻酔薬で数分うがいをして一次麻酔。
喉の調子が万全ならたいして問題のない作業(うがい)なのだろうが、水を飲むのも辛いほどコントロールの効かない状況ではこの作業さえ結構辛い。
何度もジェルを飲み込みそうになりながらも、何とか終え、診察台へ。
そして次は治療のために喉に針を刺しての本格麻酔。
実際の痛みもさることながら、喉に注射針を刺すという恐怖が更にその痛みを倍増させる・・・・
何カ所もチクチクと刺し、更には麻酔薬を注入するあの・・・・痛い、マジで痛い!
多分ジェルでの一次麻酔がなければこの痛みは更に倍!って感じなのだろう・・・・
恐怖
そしていよいよ治療に入る。
今日のところはまず患部に溜まっている膿を注射針で吸い出して、明日もう一度調べてまた膿が溜まっているようだったら切開して治療するとのことである。
喉にまた注射針がぶっ刺される。
痛い!
と顔をしかめると「麻酔が効いてるから痛くないでしょ」と先生。
痛いよ。マジで痛い!
その痛みと恐怖のために私の顔はゆがむがお構いなしにあちこちに注射針をぶっ刺し膿を吸い出す。
まあ、ある意味こういった力強さは頼もしかったりする。
治療が一段落すると、注射針には黄色い膿が血に混じって入っている。
「膿が2cc」と・・・・
喉にそれだけの膿が溜まっていたと考えると結構な量だと思ってしまう。
暫く血のタンが止まらず結構な量のティッシュを消費したが、それも落ち着いた頃に入院決定の知らせが。
空いてるベッドは差額3千円の四人部屋だと言うが、どうせ2,3日で退院だろうからそんぐらいはいいかとたかをくくって了承する。
すぐに入院準備のためにいったん家に帰る。
チャリで・・・・
パンツ、シャツ、タオルに洗面用具と最低限の泊まりセットを持って再度病院へ。
と、その前にメールチェックやら知人へのメールでの連絡をしたりしていたらちと遅くなってしまったが、まあ誤差の範囲だろう。
案内された病室は脳外科病棟で、私以外の患者さんはみんな脳梗塞で基本的に歩行に難ありといった状況らしい。
一人はまあ歩けるが、あとの二人は・・・・という状況である。
私自身確かに弱ってはいるが、喉の膿を取ってもらったせいか朝方ほどヘロヘロな状況ではない。
しかし体温を測ってもらったら何と39度あった。
どうも喉に気がいっていて、熱に全く気が付かなかったようだ。
ってか、確かにだるさはあったけどかなり動けていたしねー。
まあ、そんなこんなで点滴を打ちながらベッドに横になる。
さすがに朝から動き回って疲れていたのかすぐに気を失ったが、食事で起こされる。
朝には水も飲めないような状況だったので食事はおかゆにしてもらったが、この頃にはすでに固形物も余裕で食えるまでに回復していた。
もっとも実際におかゆを食ってみるまではその回復には気付かなかったんだけどね。
当然次の食事からは通常食に変更をリクエスト。
食事が済むと折角の面白ネタだからと友人に携帯メールを送る。
そこで一番食いつきが良かったのがK氏。
「看護婦さんと合コンだー♪」と・・・・
さらに「看護婦のレベルは?」と聞いてきたもので「自分で確かめに来い」と暗に「見舞いに来い」と言ったら返事が来なくなった・・・・
「美味しい話以外には興味なしかい?」とあまりに露骨なその態度にカティーンを通り越して笑ってしまったが、さすがにここまで露骨な態度を取られるとやる気を無くします。
っつーことでコンパ的モチベーションはゼロとなり、終了!
注射ぶっ刺すだけであんなに痛いんだから切開となったらどれほど痛いのだろうか?
明日、切開せずに済めばいいな。退院出来たらいいな。等と願いながら就寝。
病院の朝は早い。
六時過ぎに起こされ点滴。そして八時朝食。
ここにいれば規則正しい生活が身に付くかなとも一瞬思ったが、朝食食ったらまた寝るので一緒だわ(笑)
暫くすると耳鼻科の担当医がやってきて、改めて状況説明。
前日の段階では脱水症状だったのでたんまりと点滴打った。 今日もまた打つとのこと。
午後に診察して膿がまた溜まってるようだったら切開すると・・・・
取り敢えず日曜までは絶対安静だが、折角だから月曜まで入院していったら?とぬかす。
冗談じゃない。そんな金あるか?
おれは一日も早く退院したいんだよ。百歩譲って仕事は何日か休むとしても最悪でも日曜日は自宅で過ごしたいと思っていた。
この時点で私は膿が溜まってなければ退院出来ると甘っちょろい希望的観測を持っていたのだ。
果たして午後の診察で、前日と同じく喉に注射針を刺して膿を吸い出す作業をした。
前日の経験もあったので覚悟を決めてその治療に向かったためか前日ほどの恐怖も痛みも感じずに済んだ。
そして何より注射針に吸い出されたのが膿でなく単なる血液だけであったというのも私の気を楽にさせた。
切開せずに済むと。
しかしその後の先生の一言は私を少しだけ憂鬱にさせた。
「明日朝一で採血してその結果次第では退院出来るかもね。」
今夜も泊まるのは当然の決定事項なのね・・・・
そして翌日。
熱もすっかり下がり、喉にやや違和感はあるもののそれ以外は余裕で元気な私であったが血液検査が示す炎症の値が高いために
入院延長大決定
凹みました。
一二泊のつもりだったので暇つぶしの道具は何も持ってきておらず、携帯電話の電池もかなりピンチ。
ついでに充電器は仕事場に置き忘れ。
踏んだり蹴ったりな状況にちと開き直り。
消灯後、大脱走。砧の我が家へチャリを飛ばして・・・・
寒い中15分ほどで自宅に着いてしまった。
以外と近いじゃん。
早速着替え等を詰め替えという入院者として比較的まともな作業。
小説も一丁ぶち込む。病院へ戻る途中にはサッカー雑誌でも買って行こうと。
ついでにPCつけてメールチェック。
だけで済まないのが私のダメなところ。
見掛けた友達とついチャット。「あれ?入院してるんじゃなかったっけ?」とは友達。
そらびっくりするべえ、つい一時間前に病院から携帯メールを送ったばっかだ(笑)
事情を話すと「さっさと帰れ」としごくまっとうなご意見。
部屋に落ち着いてしまうとますます病院に帰るのが面倒になるのは目に見えているので名残惜しいが用件だけ棲ませて病院へ帰還。
さすがにこの晩はよく眠れました。
病院の朝は早い。ましてや前夜遅くまで出掛けていたので・・・・
朝食を食ったあと点滴を打ちながら昼飯で起こされるまで余裕の気絶・・・・
昼食を食った後、また寝るべえか本を読むか考えていたところに彼はやってきた。
お友達の凹氏である。
退屈な入院生活で見舞客ほど有り難いものはない。
彼はお土産に手塚治虫のマンガを持ってきてくれた。でもそんなことより来てくれたことがすっげー有り難かった。
そして彼と入れ替わりでやって来てくれたのはSさん。
先の凹さんもそうなのだが彼らとはまだインターネットが流行る前の”パソコン通信”という知り合った。
言ってみれ私にとって最初のネット友達である。
かれこれ・・・・7,8年以上になるのだろうか?
結構長い付き合いですねー。
その間イロイロとお世話になりっぱなしなので早いトコ出世して数々のご恩に報いたいものです。
ちなみにS氏は現在私のバイクの先生なのでお土産はバイク雑誌。
現行モデルが雑誌に並んでいるのだが、そのラインナップの貧弱さに唖然となった。
最近バイクは売れていないという話は聞いていたが、そのために販売種類も少なく、また馬力規制されたモデルは著しく魅力に欠ける。
これでは更に売れなくなるのは目に見えている。
これを悪循環と呼ぶのだろう・・・・
この日の看護婦さんの中に妙に若くて元気なコがおるなと思ったらどうやらそれは私の入院している病院に併設されている看護学校の学生のようである。
まだ妙にマニュアルっぽい対応や”元気が売りです”といった感じに初々しさを感じさせて微笑ましくさえ感じさせてくれる。
昼間に友達が来て午後はずーっと喋りっぱなしだったので消灯時間ともなれば疲れて眠気が襲ってくるのかなとも期待したのだが甘かった!
むしろ前夜深夜脱走して遅くまで起きていたせいで生活サイクルがずれてしまったのかち〜〜〜〜とも眠くならない。
が、しかし私は前夜強力な味方を仕入れているのだ。
自宅から持ってきていた小説。
さすがに他の患者さんの寝ている病室で読むのは気が引けるので折りたたみ椅子を持ち出して廊下で読むことにした。
当然前日買っておいたお菓子とドリンクを持参して。
さすがに看護婦さんに「眠れないんですか?」とは言われたがとがめられるようなことは無かった。
どうせなら話し相手にでもなってくれれば有り難いのだが・・・・忙しいのねー、残念。
翌日には今度は妹が見舞いにやってきてくれた。
定番の果物を持ってきてくれたのは有り難いのだが果物ナイフとか持ってないから退院するまでお預けだぁ・・・・
ついでにちょっと不安だった入院費を貸してもらう。
前日には漫画家のM氏に未払いのギャラを振り込んでもらったのだが・・・・入院なんてどれだけ掛かるのか皆目見当がつかないので困ったものだ。
ついでに「どうせ入院といっても2,3日だろう」とたかをくくり差額ベッド(ちょっと高い)にしていたのが金銭的不安を助長する。
まあ、久しぶりに会った妹は元気そうなのでそれはそれで安心(?)した。
さて、退院予定の月曜日の朝がやってきた。
が、が、が、あるはずの朝の採血が無い。
どうなっているんだ?先生忘れているのか??
一応点滴はあるのだが・・・・
荷物をバッグに収め、着替えを済ませ、あとは上着を着て帰るだけ。
と退院用意はばっちりなのに音沙汰無しで昼飯だけがやってきた。
相変わらず不味い病院食を食って看護婦さんに「どうなってるの?」と聞いてみる。
少しして採血のセットを持った看護婦さんが
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
よし、これで退院に一歩近付いた!
昨夜小説をはじめとして持ち込んだ本はことごとく読み終わってしまっていたので超手持ち無沙汰。
病院内をうろつこうかとも思ったが、その間に呼び出しくらってもなんだしなぁと思い、我慢。
三時過ぎになってやっと看護婦さんから「耳鼻科の外来に行って下さい」と。
おぅっし!これで帰れる〜〜〜〜!!!
耳鼻科の先生の話は予想通りスムーズにOK!
多分土日が間に無ければ昨日か一昨日に退院出来ていたことであろう・・・・
喜び勇んで上着を着て会計
約七万五千円。
予想よりやや安かったので金を借りるまでもなかったかな?
差額ベッドでなければ更に二万ほど安かったかと考えると・・・・
まあ、過ぎたことだ。
とにかく家に帰れる〜〜〜〜♪
寒い中チャリで帰宅してまず最初にやったのがPCのスイッチを入れるというのが私のダメっぷりを証明していますね。
もはやこいつ無しに生活するのは・・・・
後日談として・・・・
入院期間中は当然のコトながら仕事が出来ないのでその間の仕事はキャンセルになるため収入は無いのだ。
つまり入院費と会わせダブルパンチなわけですね。
ついでに二月にはちっとも働かない原作者の結婚式でまた金が出る・・・・メイワクナンダヨ
っつーことで損失補填のために助っ人の仕事を受ける。
・・・・のはいいのだが、さすがにまだ病み上がり。
仕事先で新規に風邪を貰ってきてしまいました・・・・
無理はいかんですなぁ