• 6月15日(月)続き(3)

    この頃になるともう食える物なら何でもいいやという気になっていた。が、さすがに時折見掛けるアラビア文字の看板の店に売っている砂糖をまぶした甘ったるそうなパンだか菓子だかは食う気が起こらなかった。
    結局、駅の側でやっと見つけたいかにも流行っていなさそうな安レストランで食事を取った。まあ、量は多く不味くは無かったが結果としてこれがフランスで取った最後の食事かと思うとちょっと寂しい気もした。
    朝はマクドナルドで気持ち悪くなるし・・・

    駅に着くと駅前広場には沢山の機動隊が居た。
    まだ時間はたっぷりあるので適当にそこらの人を捕まえて話をした。イングランド人の英語は早口で非常に聞き取りにくかった。スキルが足りないなー。
    日本人のカップルとも話した。彼等は試合のチケットが確保出来なかったようだ。
    「でも、私達の本命はブイヤベースを食べることだから」と言う彼女に私が見てきたことを伝えると一瞬落ち込んだがそれでも諦めず「とにかく探してみます」と港の方に向かって行った。

    その後に話をした奴等が非常にムカつく奴等でその知ったかな態度に嫌気がさし、話も半ばに其奴等から離れた。
    離れたは良いが列車の出発までまだ時間はたっぷりある。
    余りに退屈なのでまた街を探検しようかと駅舎を出たら例のカップルが「ブイヤベース食べて来ました!」と嬉しそうに声を掛けてきた。
    港の方の路地に一軒だけやっていたと言う。一瞬私もその店に食べに行こうかと思ったが先程の食事がもたれているのでとてもじゃないが入りそうに無い。何だか悔しい。
    その気持ちを彼等に伝えると「私達はブイヤベースを食べに来て、サッカーが観れずにブイヤベースが食べれた。あなたはサッカーを観に来てサッカーが観れたのだからそれで良いのじゃない」と慰められてしまった。

    その後街に降りてみたが危険を感じて早々に駅に引き返し機動隊のすぐ側で見物をしていた。
    一度駅が襲撃されるとの情報が入ったらしく駅前の階段に完全装備の機動隊員がずらっと2列に並び凄まじいまでの緊張感に包まれたがそれも暫くして解かれた。
    時折チュニジア人がビール瓶を投げつけてきたり、機動隊員に余計な事言ってぶん殴られる少年が居たりしたが深夜になったら駅舎に追い返されてしまった。
    暫くするとスペインのポートボウ行きの夜行列車は来た、これでフランスとはお別れなんだ。

    が、しかし。お別れではなかったのだな、これが。 


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