• 6月16日(火)続き(2)

    が、これが間違いの元であった。
    幅の狭い螺旋階段は真ん中にちょうど人が一人墜落する事が出来る程度の穴が通じているのだ。
    当然手すりなんて気の利いた物は無い!
    その階段は私に高所恐怖症を完全に蘇らせてくれた。
    背中にはたっぷりと汗をかき、平衡感覚は頼りなく膝はがくがくでいわゆる”腰が抜けた”状態で、壁に張り付くようにそろそろと降りる。
    さっさと降りてしまった方が良いのは分かっているのだが恐怖に足が竦んでしまっているのだ。
    泣いて許して貰えるのなら、恥も外聞も無く大声で泣き喚いただろう。 そのぐらい恐かったのだ。
    どんなにゆっくりででも下っていればいつかは下に辿り着く。と心に言い聞かせて下った。
    不幸中の幸いだったのは前からも後ろからも人が来なかったのですれ違うことが無かったことだった。
    一応すれ違うスペースというのは設けられているのだがこの時の私にとっては単なる気休めにしか過ぎない。
    下に辿り着いた私は缶コーラで祝杯を挙げた。
    恐怖で喉はカラカラだったのでホッとしたこともあり実にしみる美味さだった。
    ちなみに階段の下の出口は封鎖されていると思っていた鉄格子の扉だった。

    コーラを飲み、一息ついたところで先程登った塔とは反対側の塔の下に来た。
    何とこちらの階段は封鎖されてはいなく、歩いて登れるのだ。
    喉元過ぎれば何とやら、つい先程の恐怖も忘れて「今度こそ」とばかりに登り始めたのだ。
    が、暫く登ると階段を下りてきた人とすれ違い、その時先程の恐怖が蘇って来た。
    「あかん、止めよ」根性無しの私はあえなくギブアップしたのでした。

    教会を出ると昨夜マルセイユで会ったムカつく一団と会ったが軽く会釈をした程度で話はしなかった。
    みんな考える事は一緒なんだな。

    次はこのバルセロナに来たら是非とも行きたかった私がスペインで最も好きなサッカーチームF・Cバルセロナの本拠地ノウ・カンプ・スタジアムである。
    地下鉄の駅からは結構歩く羽目になったが歩いただけのことはあった。
    サッカー博物館なんて物もあり、そこではF・Cバルセロナの栄光の歴史を展示してあったがそんな物は単なるおまけにしか思えない程このスタジアムは素晴らしかった。
    10万人以上収容できる観客席はグラウンドに近く、さすがサッカー先進国と納得させられてしまった。
    こんなスタジアムが日本にも出来たらなーと思わずにはおれないものです。
    今度は是非ともここで我が愛するF・Cバルセロナの試合を観たいものです。


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